Friday, December 31, 2010

Alex Grey - World Spirit


2010年が終わる。「何と形容したらいいのか分からない」そんな年だった。
子供の頃から今まで、殆ど恐怖症のように生活がルーチンに陥るのを極度に嫌って生きて来たが、それでも今年は今までのそれとは全く違った。
今まで集めて来たパズルのピースがカチャカチャとはまって行くような、そんな年だった。

狂おしい夏を経て、俺が今年最後に得たものは、嫁と子供だった。

今、子供は身長約4cm。
自分達の体の声を注意深く聞いた結果、今しかないというタイミングで思った通りに授かった。

言葉にすると、今まであまりにも語られすぎたテーマでチープに思えるが、やっぱり生命が宿るという事は神秘的だ。
一体、魂とはどこからやってくるのか?どのようにしてやってくるのか?
こんな根源的な疑問は、今まで沢山考えて来たけど、全く分からなかった。
でも、今ならなぜあの頃解らなかったかが分かる。今、それが何となく分かるからこそ子供が出来たと思う。
みんな、どうなんだろう?
俺の、この不思議な体験というか「理解」みたいなものを見事に表現している作品がある。
Alex Grey の "World Spirit"という作品。

Alex Greyは、ニューヨーク出身の画家。元は写実的な絵を描いたりしていたのだが、ある時のLSD体験を境にサイケデリックアートに傾倒して行く。生命の神秘に打たれた彼は、その後5年間ハーバードの解剖学研究室で働きながら人体に関する理解を深め、その知識に基づく人体の精密な描写が特徴の現在の作風を確立した。90年代のレイブカルチャーの隆盛と共に注目を集め、Nirvana, TOOL, Beastie Boys等のジャケットに彼の画が採用された事もあり、一般の知る処となった。

World Spirit は、彼の作品群の中から、命に関するものを中心に一連の流れを汲むものを彼自身の語りとともに観るもの。
「自分という人間の紹介」の第一部、資本主義の終焉を描いた第二部に続いて、受精の瞬間からの自分の誕生を描いた第三部、そして「死」の第四部という構成のライブパフォーマンスを収録したモノ。サンフランシスコの隣町、オークランドでのパフォーマンスを友達のヤスジが観に行っていて、「ちょっと宗教臭くて俺はダメでしたけど、凄かったです」と言っていたのを思い出す。
確かにニューエイジ的なモノは、ゼロ年代に入って毛嫌いされたし、レイブカルチャーは、あくまでオルタナティブであったが故にクラシックになり得なかった。俺もそれは仕方の無い事だと思うが、彼等の残した波紋は、今でも俺の中に確実に生きていて、日々の意思決定に影響している。
オーガニックに生きる事や、社会の声ではなく自分の声を聞く事、自然、宇宙、命、運命。
アレックスは、よくパーティーで見かけたし、何度か同じフロアに居合わせたりもした。草も一緒に吸った。
いつも決まってレザーのカウボーイハットを冠った彼は、鋭い目つきとは対照的な優しい物言いが印象的だった。
今年観た彼は、大きなコルセットのようなもので体を縛り上げて絵を描いていた。何処か体が悪いのだろうか?
偉大なアーティストの一人だ。いつまでも健康で、一枚でも多く素晴らしい作品を作って世界を啓蒙してほしい。


7年前、寛治がわざわざ日本から送って来てくれたこのDVDは、今年やっとその意味が分かった。ウチのDVD殿堂入りです。

今年、楽しかったな〜。忘れられない。
皆さん、よいお年をお迎え下さい。