Friday, April 13, 2012

Last Days

旅から帰って2週間経つ。ようやく余韻も冷めて来た。
しかし、旅の興奮は冷めても、安堵感やノスタルジアは湧いてこない。

久しぶりに見る街は、何処か知らない場所に見えた。
2ヶ月旅をして俺は、物に対する執着からすっかり解放された。
旅の間、何かを欲しがったり必要としたりした事は無かった。

旅を続けるのに必要な物以外は、要らない。
家も街もモノも、今となっては全てが古い。

只一つ失う事に対して悲しく思うものは、俺を取り囲んでいるヒトの輪だ。
だがこれも、「今」という時間と「ココ」という場所が重なって起きている奇跡であって、永遠ではないという意味においてモノ達と変わりない。
だから、これを手放す事に抵抗が無い。
なぜなら10年かけて洗練されたこの輪は、不要な人々を排除してすっきりしていて、お互い離れても時が経っても、今後も変わる事が無いと分かるからだ。
色んな人々と出会って、遊び、暮らし、別れた。イデオロギーをぶつけあったりした。
今、俺を取り囲んでいる友人達は、以前遊んでいた友達に比べてそれほど親しくない人も多い。
趣味も性格も全く違ったりもする。
しかし、彼らは一番根本となる部分に於いて、一様に俺と似た価値観を共有していて、一緒に居て心地いい。
だから、その他の部分が違ってもリスペクト出来るのだ。
彼等は、俺が攻撃したり討論したり嫌ったりする必要の無い人達だ。
その部分において、いくら時間が経とうと彼等が変わる事は想像しにくい。
言い方を変えるなら、失う事の無い仲間を手に入れたのであって、その意味において彼等はいつまでも古くならない。

このタイミングでこの国を出るのは、何だか既に書かれた筋書きの様にすら感じる。

来月、日本に帰る。11年ぶりの日本。
嫁と子供は、一足先に帰った。
残り一月、カリフォルニアの生活を楽しむだけだ。

失うのが惜しくないのに、ずっと続いてほしい、不思議な時間。
ブログのサブタイトルにも書いてある通り、やっぱりこの街は最後まで「時間の外」だった。

 ありがとう、サンフランシスコ。

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